評価:★★★☆☆

この映画を見るまで、アメリカにおける人種差別は自分たち日本人に関係の無いものだとしてきた。
もっと言えば、アメリカにおける白人至上主義者と、例外として市民権を得た黒人を除いた多くの南米系移民のものでしかないと考えていた。
私達の生活からすれば、浮世離れした、おとぎの国の物語でしかなかった感じですね。
日本人を実感したことは?
生まれたときから日本にいて、海外を旅行したことは何度かあるものの、今も東京に暮らす純粋な日本人。
外国人の友達もいるし、少々なら英語などの外国語も話すことはできるけど、特に日本を意識したことも無く、かと言って外国かぶれしているわけではない。
おそらく最も一般的な日本人だと自覚している。
だからと言うわけではないのかもしれないけれど、経験的に人種差別を知らない。
一時期、短期の留学をしていた際に、現地(フランス)で少々差別的な発言を受けたり、アジア人というだけで特殊な扱いをされたことがある。
けれど、本質的に日本人であることを思い知らされたことはいまのところない。
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単純に言えば、この映画はカッコイイ。
主人公の家族は皆美形だし、そのファッションやタトゥは洗練されていて魅力的だ。
大抵の場合は感化されないまでも、のめりこんで見てしまう類の作品と言える気がする。
でも、この作品は、何処かしら引っ掛かる部分を常に背負っていると思う。
「謎が残る」といえば大袈裟だけれど、世界に入りきれない、本質に迫り難い空気を持っている感じかな。
その空気の正体は何なのだろう。
ヒントはこの題名に隠されている。
ー American Histry X ー
そう、この映画はアメリカの、アメリカに向けての映画なんだ。
ちょっと言っておきたいこと
ではなぜ、アメリカの自己回帰的なこの映画に対して乾燥を書いているか、という話。
それは、アメリカ人の抱くアジア人、あるいは日本人のイメージがあまりにも典型的であり、かつ(個人を別として)当てはまっていると思わせるから。
日本人はきっと、自他の領域というものを知らない。
これは良くも悪くもある性分であると言える。
もとより農耕種族として存在してきた日本人は、分け与え、助け合うことを信条としてきたように思える。
そのため、立ち入ってはならない領域を知らず、お互いを自分の投影された姿として認識しやすい。
勝手にルールを見出し、それを押し付ける可能性を持っているのだ。